SPECIAL
アニメスタッフ新横浜に行く
――2020年3月。アニメ「吸死」スタッフに、ロケハンの連絡メールが届きました。
「3月〇日(火)15:00 @新横浜駅西口改札(新幹線のりば方面)集合」と。
それに「少し早めに行ってますね」と返信。
そして3月△日(月)15時――そう、待ち合わせより24時間ほど早めに新横浜へ乗り込んだ、やる気満ち溢れる馬鹿がいた。
シリーズ構成・菅原である。そう、これは決して真面目な話ではない。
アニメ本編の情報もありません。
どうぞご一笑いただければ幸いです。
最強の案内人現る
ロケハン前日の話は蛇足なので省略します(万が一ご希望があれば日の目を見るかもしれません)。
さて、3月〇日(火)15:00。新横浜駅改札に「吸死」アニメスタッフが揃いました。
メンバーは神志那監督、制作プロデューサーの岡さん、美術の吉田さん、キャラデの中野さん、南原プロデューサー、佐藤アシスタントプロデューサー。おまけに構成・菅原です。
作品によりますが、本作のロケハンに脚本家は必要ありません。既に脚本は全話書き上がっております。
私が行きたかったのでダダこねてついてきただけです。
そして、なんと盆ノ木先生が降臨! 担当編集Tさんも加わり、新横浜を案内してくださることになりました。
新横浜はほどよい広さなので、大体のところは歩いて行けるとの話。
天気は快晴。広がる青空の下、出発です。外に出ると新横浜駅がデカイ!
早速、駅の屋根の上でバトルしたら、下からは見えないかもねという話に。これぞロケハンです。
盆ノ木先生の案内のもと、作品のモデルや参考にされた場所をあちこち巡ります。
歩くのが早い人(主に監督)と遅い人(主に構成)の間に百メートルの差ができているけど気にしない。
写真を撮ったり、いろいろチェックしながらマイペースに進みます。
途中、神奈川県の旗を発見。確かに原作どおり、ぱっと見〇〇〇〇です。
しかもこの旗は、吸血鬼対策課関連の美術設定に取り入れる可能性が高いのではという話になりました。
すぐにプロデューサーたちが、真面目な顔で〇〇〇〇っぽい旗が放送可能か検討しはじめます。
でも問題はないはずです。だって神奈川県の旗だもの。旗の前で〇〇〇〇を連呼する大人たちの方が問題あるはずです。
幸いにも我々は捕まることなく、鶴見川沿いにある新横浜駅前公園に向かいました。
みんなで川沿いを指しては、ナギリがあのへんで服を洗っているのではとか、このくらい広々していればダチョウがいてもおかしくないなどと語り合います。
遊具のある所では、子供たちが楽しそうに遊んでいたので、我々大人たちは不審者と誤解されないよう、撮影を自粛します。
子供がいなくなった瞬間に、いっせいに砂場に乗り込んで撮影したり、遊んだり。
完全に不審者ですが、楽しかったです。
この日は風が少し強くて肌寒いものの、太陽の光は暖かく、このままベンチに座ってぼーっとしたいくらい気持ちの良い天気でした。
既に日当たりが良い場所は桜がきれいに咲いています。
せっかくなので、ジョンと桜で記念撮影をします。
新横浜のシンボルへ
そして今回のメイン。新横浜プリンスホテルへ。高さ150メートルもあるシンボル的な存在です。
事前にお願いしていたので館内を案内していただきました。
最上階からの眺めは最高。新横浜一帯だけでなく横浜方面まで一望できました。
打ち上げパーティがやれるなら、ぜひここでやりたいですね。
なお、建物は一階まで吹き通しになっていて、高いところから覗くと膝がガクガクします。
昼と夜の狭間の休憩
今回のロケハンはなぜ15時集合かといいますと、昼と夜の新横浜を見るためです。
しかし、まだ日は高いので少し休憩することに。
目的地はそう、退治人組合――ではなく、横浜ハイボールというお店です。酒好きなスタッフの目が輝きます。
もちろん菅原の目も輝きます。レッツラハイボール!
ところが、そこで事件が起きました。
お店に向かう途中、なんと神志那監督がキックボードのガキを発見したのです。いや、本当にいたんですよ。男の子がキックボードで颯爽と街中を突っ切る姿が。
私が見たのは後ろ姿ですが、その背格好はもちろん、後頭部の面長な形がキックボードのガキそのもの!
監督と私、2人で見たので幻ではないはず!! テンション爆上がりです。
そしてお店に到着。なぜか男性陣のテーブルと女性陣のテーブルにきれいに別れました。
私は仕事中だからと遠慮していたのですが、男性陣のテーブルでは、酒好きな一部スタッフが当たり前のようにハイボールを頼んでいるではないですか。
さらっと便乗します。イエー。名物のハイボールはレモンが効いていてさっぱりした味でおいしかったです。
他の面々はジュースやお茶を注文。
そういえば、待機中のハンターたちはお酒を飲みません。つまり、こちらの方が「吸死」的には正解ということでは?
ところが、けしからんことに隣の男性陣テーブルはいつの間にか二杯目に突入。
彼らが言うには、菅原へも心の声で「ハイボールのおかわりいりませんか?」と聞いてくれたらしいです。
心の声で。クソども……いや、なるほどです。私も心の声で「締め切り一週間延ばしてください」と返しておきました。二杯目のハイボールもおいしかったです。
一方、女性陣のテーブルは「吸死」トークで盛り上がっていました。中野さんも吉田さんも、「吸死」にかなりはまっているとのこと。
その時、ちらりと見せてもらった中野さんのキャラクターデザインは素晴らしくて、早く皆さんにお見せしたいなと思ったのを覚えています。
中野さんの話によると「吸死」は描くのがとても楽しいけれど、描いても描いても終わらないそう。確かにキャラの数が……かなり多いですからね。
夜の新横浜へ
ついに夜の新横浜を取材。
昼間に回った場所を再び見に行きます。日が沈んだばかりで、街中のお店は活気に溢れているものの、一本脇道に入ればかなり暗いのには驚きました。
公園や鶴見川の近くも人気が無く、とても静かになっていました。街灯の光がかえって闇を強めているようで、昼間とは全く異なる空気を漂わせています。
新横浜の大きな特徴として、街のあちこちにある大きな鉄塔や送電線があげられるでしょう。
昼間でも存在感があったのに、夕焼けの中、そして闇夜にそびえたつ鉄塔はますます独特な雰囲気を醸し出しています。
「吸死」の日常――夜のシンヨコを感じた瞬間でした。恐らくスタッフ一同、何かしら感じたのだと思います。
このおよそ一年後。2021年3月に公開されたティザーPVの冒頭で描かれた鉄塔は、まさにあの時見た光景でしたから。
以上、ロケハンレポートでした。
こんなスタッフたちで、皆様に思いっきり爆笑していただけるよう、頑張って制作しております。
10月からの放送スタートです。ぜひご覧ください。
シリーズ構成・菅原雪絵